生活習慣病管理料の不合理是正を求める要望書を提出しました

2024年 12月 25日

内閣総理大臣 石破 茂 殿
厚生労働大臣 福岡 資麿 殿

一般社団法人 茨城県保険医協会
会長 高橋 秀夫

2 0 2 4 年度診療報酬改定に伴う生活習慣病管理料の不合理是正を求める要望書

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 2024年度診療報酬改定では、特定疾患療養管理料の対象から高血圧症・脂質異常症・糖尿病の3疾患が除外され、新たに生活習慣病管理料(Ⅱ)が新設されました。
 本件に係る中医協の改定議論では、高血圧症・脂質異常症・糖尿病それぞれの疾患において、特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料の算定回数(2022年5月診療分)が示され、3疾患ともに特定疾患療養管理料の算定頻度が高いことが示されました(※)。特定疾患療養管理料は地域の医療機関における汎用点数でしたが、改定議論では、中医協・分科会(入院・外来医療等の調査・評価分科会)において、支払側委員より生活習慣病管理料への移行を強く求められた経緯があります。
 また、このことは、かかりつけ医機能構築への前段階と捉えることができるものでもあります。かかりつけ医機能の制度整備では、医療法上、患者に対する説明(2025年4月施行)が医療機関に課されることになりますが、今次改定で高血圧症・脂質異常症・糖尿病の3疾患が特定疾患療養管理料から除外、生活習慣病管理料に移行され、療養計画書の交付や患者説明・同意が要件になったことは、まさにそのことを示すものでもあります。
 当会では、今回の改定が医療現場にどのような影響をもたらしたか、「生活習慣病管理料算定による緊急影響調査」を2024年8月~9月にかけて行いました。
 その結果、療養計画書の作成や患者同意のために時間を要し、改定前と比べ「平均診療時間が増加」していることがわかりました。一方、医療の質については、改定前と比べ「変化なし」との回答が多数を占めたことからも、今次改定に伴う療養計画書作成は、結果的に形式的な文書発行に過ぎず、また、このことにより多くの医療機関で減収を強いられました。
 医療現場に無用な混乱を持ち込み、医療経営に多大な影響をもたらした責任は重大です。
 以上のことから、本件に関する不合理是正を求めます。
 下記事項の実現に向けご高配を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

(※)2022年5月診療分 3疾患における特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料の算定状況

疾患名特定疾患療養管理料
(A)
生活習慣病管理料
(B)
特定疾患療養管理料の
算定比率
(A)/(B)
高血圧症7,459,040 回126,738 回58.85
脂質異常症2,102,975 回32,249 回65.21
糖尿病2,092,986 回44,173 回47.38

  • 生活習慣病管理料における指導管理は医師と患者の「契約」ではなく「信頼関係」により成り立っている。また、それぞれの患者における治療目的や具体的に行わなければならない事項は患者によって様々であり、所定のフォーマット(療養計画書)を患者に交付することや同意・署名の取り交わしによって患者目標が達成できるとは考え難い。
    療養計画書作成や患者の同意・署名のために貴重な診療時間を割くのではなく、患者への診療・対話を重視する必要があることから、療養計画書の作成・交付は廃止すること。

以上