医療機関への財政措置の実施・拡充を求める要望書を茨城県へ提出しました
2025年 9月 18日
茨城県知事
大井川 和彦 殿
一般社団法人 茨城県保険医協会
会長 高橋 秀夫
「重点支援地方交付金」を活用した医療機関への財政措置の実施・拡充を求めます
貴職におかれましては、県民の健康増進、医療・歯科医療の確保のために尽力しておられることに敬意を表します。
本会は、茨城県下2,100 名の会員で構成する医科・歯科の保険医の団体として、保険医療の充実、県民の健康向上のための様々な活動に取り組んでいます。
諸物価や人件費の高騰が、医療機関の診療機能の維持や経営に大きな影響を及ぼしています。しかし、診療報酬は『公定価格』のため、他業種と異なり値上げを価格転嫁することができません。新型感染症への対応等による経費増や、数次にわたっての診療報酬マイナス改定で、地域医療を支える医療機関の経営基盤は脆弱です。地域の医療機関の日常診療が立ち行かなくなれば、患者や地域住民への医療提供や、健康の確保にも影響が及びます。
当会が電力料金に特化して実施した「医療機関の電力料金実態調査2025」では、2022 年以降、国際情勢等によるエネルギー価格高騰の影響もあり、医療機関が負担する電力料金は実質的に減少していないことが結果として出ております。
先般、政府において、令和7年度予備費を活用し、物価高騰対応のための重点支援地方交付金を1000 億円増額する措置が取られました。この中では、「推奨事業メニュー」として、「医療・介護……施設等に対する物価高騰対策支援」が明示されています。
重点支援地方交付金を用いて、これまで多くの自治体で医療機関への支援金、助成金が措置されてきたことは、医療機関と地域医療の支えとなっています。医療機関を取り巻く昨今の厳しい状況を踏まえると、引き続き、支援や助成の実施と、対象範囲、規模の拡充が必要です。
茨城県におかれては、重点支援地方交付金を活用し、病院・診療所の別、医科・歯科の別を問わず医療機関に対する支援策を急ぎ講じていただきますよう、下記、要望いたします。
記
一、「重点支援地方交付金」を活用し、県内の医療機関を対象にした、エネルギー価格高騰に対する財政措置を実施、拡充すること
以上
<参考資料> 医療機関の電気料金実態調査2025 ※ PDF資料は 【 コチラ 】
【調査方法】
実施期間: 2025年 8月18日(月) ~ 9月 5日(金)
実施方法: 当会に所属する会員医療機関宛にFAX 等で調査用紙を送信。24年 8月、25年 8月に請求された電気料金等の状況を確認した。
送付数 : 1,535 件
回答数 : 135件(回答率 8.8%)
2022 年に同様の調査を実施しており、本調査ではその時のデータも比較に用いた。なお、22 年調査の実施方法は今回調査と同様であり、21 年8 月、22 年8 月に請求された電気料金等の状況を確認している。
送付数 : 1,578 件
回答数 : 208 件(回答率 13.1%) 回答内訳( 診療所:153 病院:37 有床診療所:18 )
【調査結果】
(A)回答医療機関の施設区分
| 診療所 | 100 |
| 有床診療所 | 11 |
| 病院 | 24 |
(B)診療所で請求された電力料金等について(※回答医療機関の平均値)
| 請求年月 | 請求金額 | 使用量 | 1kWh あたりの 電力料金 |
|---|---|---|---|
| 2021年 8月 | 124,077 円 | 4,962 kWh | 25.0 円 |
| 2022年 8月 | 165,772 円 | 4,915 kWh | 33.7 円 |
| 2024年 8月 | 159,928 円 | 5,045 kWh | 31.7 円 |
| 2025年 8月 | 156,507 円 | 5,159 kWh | 30.3 円 |

- 2024 年以降、電気使用量が急増。猛暑の影響もあり、近年、使用量が増加傾向にある。一方、電気料金は15~16 万円台で推移。電気料金は1kWh あたりの電力料金をみると22 年の33.7 円を頂点とし、緩やかな減少傾向にある。電気料金に対する政府補助等の影響によるものと考えられるが、21 年の12 万円台から急激に上昇して以降、15~16 万円台で推移。このことは、公定価格である診療報酬が収入の大部分を占める医療機関にとって、コスト増を価格転嫁できない状態が続いていることを示すものである。エネルギーコストの上昇を始め、物価高騰などの影響は、医療機関経営困難の一要因となっている。
(C)病院で請求された電力料金等について(※回答医療機関の平均値)
| 請求年月 | 請求金額 | 使用量 | 1kWh あたりの 電力料金 |
|---|---|---|---|
| 2021年 8月 | 3,070,027 円 | 168,457 kWh | 18.2 円 |
| 2022年 8月 | 4,483,004 円 | 168,095 kWh | 26.7 円 |
| 2024年 8月 | 3,875,921 円 | 140,063 kWh | 27.7 円 |
| 2025年 8月 | 3,614,602 円 | 136,307k kWh | 26.5 円 |

- 2022 年以降、電力料金、電気使用量ともに下降傾向を示している。このことは、各病院ともに、電力会社変更、節電対策(LED 照明導入、太陽光パネル・蓄電池等の設置等)によるところが大きいと考えられる(病院は診療所と比較し延床面積が広く電気使用量も多いが、その分、節電対策効果も得られやすい)。
- 節電対策には一定のコストや維持費が必要となり、電気料金とは別の部分でプラスアルファの費用がかかっている。
- 1kWh あたりの電気料金に目を向けると、22 年以降(22 年:26.7 円、24 年:27.7 円、25 年:26.5円)電気料金は26~27 円で推移している。電気料金は安くなっておらず、経営努力により電気使用量と電力料金が減少した(前述したとおり、節電対策に一定の費用がかかっていると考えられ、電力料金以外の部分でコスト増となっている)。
- 病院の場合、月の電気料金請求金額は、多いところでは1,000万円台となっている。
(D)節電対策
| 施設(年度) | 照明の間引き | こまめな 消灯 | 照明の LED 変更 | 空調温度を 高めに設定 | 不在エリアの 空調を止める | ブラインド等で、 窓の日差しをさえぎる | コンセントを抜く等 の待機電力停止 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 診療所(2022) | 28.1% | 67.3% | 37.3% | 37.9% | 52.9% | 56.9% | 22.9% |
| 診療所(2025) | 25.0% | 66.0% | 42.0% | 24.0% | 55.0% | 82.0% | 21.0% |
| 病院(2022) | 48.6% | 73.0% | 54.1% | 27.0% | 75.7% | 43.2% | 10.8% |
| 病院(2025) | 237.5% | 75.0% | 79.2% | 33.3% | 45.8% | 45.8% | 12.5% |

(E)院内の換気対策(外気を取り入 れる等)
| 施設(年度) | 行っている | 行っていない | 未回答 |
|---|---|---|---|
| 診療所(2025) | 90(81.1%) | 19(17.1%) | 2(1.8%) |
| 病院(2025) | 18(75.0%) | 5(20.8%) | 1(4.2%) |
- 多くの医療機関が感染対策として、院内の換気を行っている。部屋を締め切ることは感染対策上、物理的に困難となっている。長引く猛暑の影響もあり、節電対策を行い難い環境にある。
- 一方、こまめな消灯やLED 照明への変更、ブラインド等で日除けをする等、可能な節電対策は行われている。
(F)電気料金をはじめとする物価高騰の影響に対する意見
- 猛暑で節電は難しい。
- 今年は猛暑でエアコン使用頻度が昨年よりアップしていることを実感している。外気換気も熱風が入ってきて、3~5 分ですが暑くなり電気の消費量は上がる。電気代が上がって苦しい。感染予防のために外気換気も必要。
- 患者が利用するエリアについては、照明や空調を使用し続ける必要があり、節電対策にも限界があることから、電気料金の高騰によって負担が増加している。
- 昨年から年間の電気使用料金が1 千万円超。経営的にも大きな影響を受けている。太陽光パネルを使用していても高騰している。電気料金を含めすべての経費が増加して経営の負担になっている。最低賃金の上昇による人件費の増加も負担になっている。診療報酬をぜひとも上げてほしいと切に願っている。公共料金や医療資材の価格上昇は続く一方、診療報酬の上昇はほとんどないため、職員給与をほとんど上げられないし、経営も苦しい。最低賃金がまた上がるようだが、医療機関の収入アップを考えてもらわないとつぶれる。
- 今回はエアコン6台更新しました。これが省エネ対策になったのでしょうか(大きな部屋の部分でしたので)。また、最低月1回はフィルターの掃除が良かったのかも知れない。これは業者も言っている。簡単にできること。
- 電気会社を変更したことで、電気料金が安くなった。
- 太陽光発電の導入、LED への変更、空気換気装置「ロスナイ」の導入。
- スタッフルームなど使用していない部屋(使用していない時間帯)は、電気・エアコンをこまめに消している。サーキュレーター・扇風機なども併用している。
- 昨年と比較して電気料金は下がっている。休診日を変更した為(休診日を多くする)。
- 物価高騰に対する医療機関への支援を強く求める。
- 電気料金だけでなく医材費や備品、各種医療機器メンテナンス費、医療廃棄物処理代等、多くのものが値上がりしている。その反面、診療報酬の低下、賃金上昇により経営を圧迫している。
- 注射のシリンジや針、心電図の用紙、医療ゴミ処理など値上げ項目が多数に及んでいる。診療報酬がアップしていないので、収益が減っている。
- 各種税金の支払い、診療報酬に消費税はかからず(治療に使用する器具材料すべての物に消費税を支払っているのに)、物価高騰とくれば、歯科医師の手元には残らないようにできている。歯科医師は決して富裕層ではありません。

