「歯科 医療機関における電子カルテ導入状況に関するアンケート」調査結果

<アンケート実施の背景

 厚労省は、医療DX推進の一環として、2030年を目途にすべての医療機関において電子カルテの導入を目指すとしている。2023年の「医療施設調査」(厚労省)では、医科診療所における電子カルテ普及率約55%となっており、今後は電子カルテ未導入の医療機関も含め、標準型電子カルテの普及を促進するとしている。

 一方、歯科医療機関における電子カルテの導入については、まだ具体的な方針は示されていないが、厚労省は「現場に求められる電子カルテ・電子処方箋の機能に関し検討を行い、2026年度中に具体的な対応方針を決定する」としている。

 2023年医療施設調査の中で示されている歯科医療機関の電子カルテ普及率(「電子化している」と回答した医療機関数)を下表1に示す。

表1:各年の「医療施設調査」における質問項目「診療録電子化(電子カルテ)の状況」の回答集計

 表1を見ると、歯科医療機関の診療録電子化普及率は2017年を頂点に全国・茨城ともに下降傾向にあり、DX化が推進される中において、この下降傾向は実態を正確に把握しているとは考え難い。

 また、歯科医療機関での普及率が4割を超えている点について、「電子カルテ」ではなくレセコンに付属しているカルテ機能が普及していることから、本調査の回答時に、「レセコンカルテ」を使用しているが「電子カルテ」と回答する歯科医療機関が一定数あったのではないかと想定される。

 このような状況を踏まえ、歯科医療機関における正確な「電子カルテ」普及率を把握することを目的とし、茨城県保険医協会では本アンケートを実施した。その結果を下記に報告する。

<アンケート実施方法>

  • アンケート方法: 茨城県下の医療機関にアンケート用紙を郵送またはFAX送付。公式LINEや当会HPよりアンケート回答フォームへ誘導。
  • アンケート回収方法: FAXおよび回答フォーム(googleフォーム)。
  • アンケート実施期間: 2026年3月9日(月)~ 4月12日(日)
  • アンケート回答数 : 149 件
    • 茨城県下の歯科保険医療機関は1,324件(歯科併設の医科医療機関のぞく。2026年4月1日現在)。
    • 回答率は11.25%。
  • アンケートの留意点: 当該アンケートでは、「レセコンカルテ」と「電子カルテ」の違いを正確に認識してもらった上で回答してもらうため、それらの相違点に関する説明を記載している。

<アンケート結果>

問1.回答医療機関情報
・回答いただいた医療機関の診療所・病院区分:

歯科診療所145(97.3%)
病   院4(2.7%)

・回答いただいた医療機関が所在する市町村:

市町村回答数 市町村回答数 市町村回答数
水戸市16 阿見町3 つくばみらい市2
土浦市15 那珂市3 美浦村2
古河市14 坂東市3 茨城町1
つくば市9 常陸大宮市3 かすみがうら市1
取手市7 守谷市3 河内町1
ひたちなか市7 八千代町3 下妻市1
龍ケ崎市7 大洗町2 常総市1
鹿嶋市6 小美玉市2 城里町1
桜川市5 笠間市2 大子町1
日立市5 神栖市2 高萩市1
石岡市4 北茨城市2 筑西市1
牛久市4 境町2 鉾田市1
結城市4 東海村2   

問2.貴院にて、レセプトコンピュータ(レセコン)を導入されていますか。

導入している136(91.3%)
導入していない(紙レセプトでの請求)13(8.7%)

問3.レセプトの請求方法は、下記のいずれになりますか。

電子請求(オンライン請求)130(87.2%)
電子請求(CDなどの媒体)7(4.7%)
紙レセプト12(8.1%)

問4.貴院では、「レセコンカルテ」と「電子カルテ」の、どちらを使用されていますか。

レセコンカルテ112(75.2%)
電子カルテ14(9.4%)
どちらも導入していない22(14.8%)
分からない1(0.7%)

問5.前述の問4にて「レセコンカルテ」を選択された方(112件)にお伺いします。今後、「電子カルテ」を導入する予定はありますか。

2030年までには導入する予定である5(4.5%)
導入する予定だが、導入時期は未定である32(28.6%)
導入する予定はない75(67.0%)

問6.前述の問4にて「電子カルテ」を選択された方(14件)にお伺いします。導入している電子カルテの「製品名」、「メーカー」を教えてください。

製品名製造メーカー回答数
Opt.one3オプテック2
paletteミック2
Cleviaノーザ1
Wise Staff-9 Plusノーザ2
CIS+IBM1
WAVE fine SEEDヨシダ1
Withメディア2
MegaOakHRNEC1
回答なし、該当製品なし2

<まとめ>

 回答のあった149件のうち、145件(97.3%)は歯科診療所の回答であった。

 「問2.」のレセコン導入状況について、「導入している」と回答した歯科医療機関は136件(91.3%)となり、また「問3.」のレセプト請求方法について、「オンライン請求」と回答した歯科医療機関は130件(87.2%)であった。

 これに対し、支払基金が公表している「レセプト請求形態別の請求状況 令和8年1月診療分」(下表2)では、茨城県における電子レセプト請求の割合は94.0%で、そのうちオンライン請求は87.9%とされており、当該アンケートと概ね近似する結果となっている。

表2:支払基金茨城支部における2026年1月レセプト請求方法別の歯科医療機関数 ※【 基データ

請求全体電子レセプト請求紙レセプト請求
オンライン請求光ディスク等による請求
1,3421,261(94.0%)1,179(87.9%)82(6.1%)81(6.0%)

 一方、「問4.」のレセコンカルテもしくは電子カルテの使用状況については、「レセコンカルテを使用している」と回答した医療機関が112件(75.2%)であるのに対し、「電子カルテを使用している」と回答した医療機関はわずか14件(9.4%)であり、前述の医療施設調査(表1)の2023年茨城県における電子カルテ導入率41.78%とは大きく乖離している結果となった。さらに、レセコンカルテを使用している(電子カルテ未導入)の医療機関112件のうち、「電子カルテを導入する予定はない」と回答した医療機関は75件(67.0%)に上っている。

 これらのアンケート結果から、国が示している歯科医療機関における電子カルテ導入率(表1)については正確な実態を反映していない可能性が否定できず、2030年までに全歯科医療機関に電子カルテを導入することは拙速であり、再考が必要だと思われる。

 まずは、国として再度正確な調査を行うことが必要と考えられることから、厚労省に対して正確な調査を行うよう要請していきたいと考えている。

この度は、アンケートへご協力を賜り、誠にありがとうございました。