改正個人情報保護法に関する声明を発出しました

要配慮個人情報の本人同意なき第三者提供を可能とする改正個人情報保護法
早急に厳格な整備を求める声明

 本年7月10日、「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」が国会で可決・成立し、7月17日に公布されました。

 改正法は、AI開発や統計作成を目的とする場合に、氏名や住所を含む病歴などの個人データ、いわゆる要配慮個人情報について、本人の同意なく第三者提供を可能とする「統計作成等特例」を新設しています。

 要配慮個人情報とは、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪歴、犯罪被害の事実など、不当な差別や偏見などの不利益を生じさせないため特に慎重な取扱いが求められる情報です。しかし、今回の改正により、医療機関が保有する個人名入りの病歴などの医療情報といった要配慮個人情報であっても、AI開発等を目的とする統計作成に該当するとされれば、本人の同意なく事業者等に提供することが可能となります。

 同法案は、IT業界や経済界からの強い要望を背景に、個人情報の利活用を推進するため、その重心を「保護」から「利活用」へ大きく転換するものであります。他方、法曹界や医療界からは、個人情報保護法制の後退に対して強い懸念が表明されています。

 私たちは、データ利活用を優先するあまり、特に要配慮個人情報を含む個人の権利利益の保護が大きく後退する今回の改正に対し、深い遺憾と懸念を表明します。

 法施行までの間に、提供される個人情報を必要最小限にとどめること、漏えい・不適正利用の防止、AI・プロファイリング規制強化、特定の個人を識別できないようにする措置の徹底などを内容とする、個人情報保護委員会規則やガイドラインによる厳格な規制を早急に整備することを求めます。

 更には、要配慮個人情報である病歴等の第三者提供について、参議院附帯決議の趣旨に基づき、医療分野の実情を十分に踏まえつつ、医師等の守秘義務および生命科学・医学系研究に関する倫理指針等との関係を明確化するよう、関連ガイドラインの早急な改正を強く求めます。あわせて、課徴金制度については、課徴金対象行為を繰り返す悪質な事業者に対する実効的な抑止力となるよう、将来の課徴金額の水準および対象要件の継続的な見直しを行い、欧州連合の一般データ保護規則も参照しつつ、基本的人権の保護を基軸とした厳格な制裁措置の導入、課徴金の対象外となっている「安全管理措置義務」違反を対象とすることを強く求めます。

2026 年7月23日
一般社団法人茨城県保険医協会