茨城県保険医協会では、茨城県内の年末年始における休日夜間診療所の状況調査を行った。
2024年12月29 日 ~ 2025年1月3日までの間、県内 6ヶ所の休日夜間診療所において、「内科」および「小児科」の受診者数は5,490 人に上った。
調査方法
- 実施期間:2025年 1月 17 日(金)~ 1月 30 日(木)
- 実施方法:県内8ヶ所の休日夜間診療所に調査票を送付。
- 調査票では、2024 年 12 月29日(日)~2025 年 1月 3日(土)までの、休日(昼間)診療と夜間診療の来院患者数、対応した医療従事者数、インフルエンザ感染症ならびに新型コロナウイルス感染症の検査状況等を確認。
- 回収数 :県内5ヶ所の休日夜間診療所(水戸・日立・土浦・筑西・鹿嶋)の状況について調査票を回収。その他 1カ所(ひたちなか)医療従事者より情報提供あり。
医療費の概算
12/29 ~ 1/3 における内科・小児科の受診患者数
調査実施期間における、各休日夜間診療所での「内科」および「小児科」の来院患者数は下記の通りとなる。
休日夜間診療所 | 受診患者数 |
---|---|
水戸 | 2,589 人 |
日立 | 871 人 |
土浦 | 357 人 |
筑西 | 772 人 |
鹿嶋 | 73 人 |
ひたちなか | 828 人 |
合計: | 5,490 人 |
医療機関での医療費
休日夜間診療所にてインフルエンザとコロナ検査を行った場合の患者一人あたりの医療費
休日夜間診療所に受診した際の、一般的な診療報酬の算定項目と算定点数については、下記の通りとして考察した。
算定項目 | 算定点数 |
---|---|
初診料 | 291 点 |
休日加算(初診料) | 250 点 |
外来感染対策向上加算(初診料) | 6 点 |
発熱患者等対応加算(初診料) | 20 点 |
医療情報取得加算(初診料) | 1 点 |
医療DX推進体制整備加算1(初診料) | 11 点 |
時間外緊急院内検査加算 | 200 点 |
SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出定性 | 225 点 |
鼻腔・咽頭拭い液採取 | 25 点 |
免疫学的検査判断料 | 144 点 |
処方箋料 | 60 点 |
一般名処方加算1 | 10 点 |
外来・在宅ベースアップ評価料(1)1(初診時) | 6 点 |
合計: | 1,249 点 |
上記より、医療機関での概算医療費は「 1,249点 × 10 円 × 5,490 人 = 68,570,100 円( 約 7,000 万円 )」となる。
薬局でかかる医療費
薬局での患者一人あたりの医療費
薬局にて処方する際の、一般的な診療報酬の算定項目と算定点数については、下記の通りとして考察した。
算定項目 | 算定点数 |
---|---|
調剤基本料3 | 19 点 |
後発品調剤体制加算3 | 30 点 |
地域支援体制加算3 | 10 点 |
連携強化加算 | 5 点 |
医療DX推進体制支援加算1 | 7 点 |
休日加算 | 99 点 |
薬剤調整料(内服薬5日分、休日加算) | 192 点 (72点 + 120点) |
薬剤管理料 | 12 点 (4点 × 3) |
服薬管理指導料 | 59 点 |
医療情報取得加算 | 1 点 |
合計: | 434 点 |
薬局での患者一人あたりの薬剤料
薬局にて処方する一般的な薬剤については、下記の通りとして考察した。
薬剤 | 薬価 |
---|---|
メジコン(1日6錠)× 5日分(ジェニリック) ※咳止め | 25 点 |
カロナール(1日6錠)× 5日分(ジェネリック) ※解熱剤 | 20 点 |
タミフル(1日2錠)× 5日分(ジェネリック) ※抗インフルエンザウイルス剤 | 110 点 |
ツムラ麻黄湯(1日3包)× 5日分 ※漢方(風邪や寒気、頭痛時に処方) | 45 点 |
薬局での患者一人あたりの医療費の試算
(1)「メジコン」、「カロナール」、「タミフル」を処方した場合
434点 + 25点 + 20点 + 110点 = 589点
( 589点 × 10円 )× 5,490 人 = 32,336,100( 約 3,200万円 )
(2)「タミフル」を処方せず、「メジコン」、「カロナール」、「麻黄湯」を処方した場合
434点 + 25点 + 20点 + 45点 = 524点
( 524点 × 10円 )× 5,490人 = 28,767,600円( 約 3,000万円 )
(3)「タミフル」を処方せず、「メジコン」、「カロナール」を処方した場合
434点 + 25点 + 20点 = 479点
( 479点 × 10円 )× 5,490人 = 26,297,100円( 約 2,700万円 )
以上より、6カ所の休日夜間診療所の6日間で、医療機関で約7,000万円、薬局で約3,000万円、合計およそ1億円の医療費を使ったことになる。
参考
市販薬を購入した場合の薬剤料の試算は下記の通りとなると考察した。
医薬品 | 価格 |
---|---|
ツムラ麻黄湯エキス顆粒 | 2,350 円 |
メジコン | 2,569 円 |
カロナール | 1,920 円 |
抗原検査キット(COVID/インフルエンザ) | 3,840 円 |
合計: | 10,679 円 |
※価格は2025年3月にネットで調べ。1箱単位での購入とし、タミフルの代わりに初期のインフルエンザに有効とされる麻黄湯として計算した。