5/1:「オンライン資格確認」「マイナ保険証」に伴う医療機関トラブル調査(第3報)


 茨城県保険医協会では、この間、継続的に「医療機関でのマイナ保険証トラブル調査」を実施してきましたが、昨年10月以降のトラブル状況について第3弾の調査を実施しております。
 マイナ保険証の利用率は5.47%(※2024年3月の利用率)と若干の増加傾向にありますが、今年12月の健康保険証廃止を目前に控え、利用率はまだ低い状況です。地域住民がメリットを感じているのであれば、利用率は上がるはずです。マイナ保険証の利用に関して地域住民が不安を抱えていることは、この利用率からも十分に推察できるところです。
 4月25日、厚生労働省はマイナンバーと健康保険証のひも付けミスが新たに545件あったことを公表しました。医療機関でのトラブルも続いています。デジタル化推進は時代の流れではありますが、国民皆保険制度を維持存続させるためには、健康保険証の利用を継続していくことが必要であると考えます。
 以下、調査結果を報告します。

【調査方法】

 実施期間: 2023年 11月24日(金) ~ 2024年 1月 10日(水)
 実施方法: 茨城県会員医療機関にFAX で調査票を送付
 送付数 : 1,572 件
 回答数 : 332 件(回答率21.1%) ※回答施設内訳(医科診療所:228、歯科診療所:68、病院:36)

【調査結果】

問1)10月1日以降のマイナ保険証、オンライン資格確認に関するトラブルについて

あった196 / 332(59%)
なかった111 / 332(33.4%)
無回答25 / 332(7.5%)

問2-1)トラブルが「あった」と回答した医療機関・トラブルの類型について(複数回答)

該当の被保険者番号がない66497(13.3%)
資格情報の無効がある94497(18.9%)
名前や住所の間違い54 / 497(10.9%)
名前や住所で●が表記される158497(31.8%)
負担割合の齟齬(国保)9 / 497(1.8%)
負担割合の齟齬(社保)4 / 467(0.8%)
負担割合の齟齬(後期高齢)18 / 497(3.6%)
限度額認定に誤り等がある16 / 497(3.2%)
他人の情報が紐付け4 / 497(0.8%)
間違った医療情報が紐付けられていた5 / 497(1.0%)
カードリーダーでエラーが出る69497(13.9%)

問2-2)トラブルの具体的内容(抜粋)

  • 利用者さんが使えずにスタッフが対応する場面が出てくる。
  • 有効な保険証を持っているが、マイナンバーでは無効と表示された。マイナ受付の方法がわからない、顔認証できない、暗証番号わからない、間違えた等でロックがかかってしまったことが多々ある。マイナ保険証の対応をしていると、通常業務が滞る。
  • 顔認証がうまくできない(暗証番号分からなかったので保険証で確認した。患者様からマイナカードを持ってきたのに意味がないと怒られた)。
  • 顔認証でエラーが出てしまう方がいる。
  • カードが読み込めない。
  • 保険証の資格内容自体に誤りはが無いが、マイナンバーカードの有効期限が入っているとエラー(間違い)と表示され、時間を取られてしまう。
  • 保険証が変更されている為「OK」をクリックすると、以前からの保険証も誤入力とされ、カルテの入れ直しが必要になる。
  • 暗唱番号を忘れ(3 回)ロックされ使用出来なかった。結局、保険証になった。
  • 紐づけしたと患者様はおっしゃっていたが、資格無効でマイナンバーが使用できなかった。
  • 資格確認が出来ない(無効となる)。
  • 資格確認時に兄弟の情報が出てきた。
  • 被保険者の家族だが、本人の所に名前が上がった。
  • 資格があるにもかかわらず、「該当なし」となってしまう。保険証の変更後も前の保険証情報で画面上、資格確認してしまう。
  • 目視で間違いないのに無効になる。患者さんに確認するも「変更していない」とのこと。
  • 保険証が新しく変わっているのに、オンラインではまだ変更されていない(住所も含め)。
  • 自衛隊など、情報登録できていないようで、該当なしで情報が何も入ってこない。
  • 数日前に保険が変更になったという方のマイナ保険証が読み込めず保険証も持参していなく診察されずに帰られてしまった。
  • 国保の方で、国保に加入し当日中に受診した方2 人について、2~3 日後に資格確認できた。
  • 後高齢の方には、対応時間がとられてしまう。
  • 国保加入者だが、社保で登録されていた。
  • お名前の漢字が●で表記されてしまい、再診の方なのに新患で登録されてしまう。
  • 旧漢字は●で表示される。
  • 氏名カナが間違えて登録されていた。
  • 名前の変更をした方の情報が、3 週間たっても修正されていない。
  • 協会健保・組合にてマイナ保険証とのヒモづけができてない企業が多い。
  • 前期高齢者の負担割合が誤っていた。
  • 後期高齢者の保険証は2 割、マイナの登録は1 割だった。
  • 限度額認定証、本人提示の物とオンライン区分が違う。
  • 機械更新が始まると半日以上カードリーダーが使用できない。

問3)トラブルについてどのように対応したか(複数回答)

その日に持ち合わせていた健康保険証で資格確認した159 / 308(51.6%)
オンライン資格確認のコールセンターに連絡した6 / 308(1.9%)
保険者に連絡をして相談した38 / 308(12.3%)
レセコンメーカーに相談した24 / 308(7.8%)
前回来院時の情報をもとに対応した81 / 308(26.3%)

問4)トラブル対応で、「一旦10 割負担を患者に請求した」事例

あった17 医療機関(少なくとも31 事例)
なかった260 医療機関
無回答55 医療機関

問5)保険資格や負担割合の齟齬、限度額認定の誤りなどで、保険者から返戻・減点はあったか

返戻があった48 / 332(14.5%)
減点があった3 / 332(0.9%)
ない241 / 332(72.6%)
無回答40 / 332(12.0%)

問6)健康保険証が廃止された場合の受付業務について(複数回答)

一定落ち着いていると思う53 / 434(12.2%)
今も混乱しており、廃止後は受付業務に忙殺されると思う182 / 434(41.9%)
診察の待ち時間が長くなると思う129 / 434(29.7%)
スタッフを増やして対応せざるを得ないと思う70 / 434(16.1%)

問7)2024 年秋の健康保険証廃止について

賛成13 / 332(3.9%)
延期すべき48 / 332(14.5%)
保険証は残すべき271 / 332(81.6%)